バフェットはろうです。
国税庁は2018年から、「共通報告基準」(CRS:Common Reporting Standard)に基づく非居住者金融口座情報の自動的情報交換を開始しました。これは日本人の財産が海外へ流失するのを防ぐ制度。今回は、このCRS制度について共有していきます。
CRS制度の概要
この制度は、租税回避の動きを阻止するために経済協力開発機構(OECD)が策定した新制度です。自国にある銀行や証券、保険も含む非居住者の金融口座の情報を毎年12月末時点で集計し、世界100か国を超える税務当局間で自動的にその口座情報を交換するという仕組み。
例えば、日本居住者がシンガポールの銀行で口座を開設したとすると、このシンガポールの銀行は、日本居住者(シンガポール非居住者)の口座情報をシンガポールの税務当局を通じて、日本の税務当局へ提出することになります。
2018年の初回の情報交換では口座情報は約55万件、2019年は約189万件と発表されています。2020年はもっと増えていることが予想されています。
従来の報告制度
国外財産調書制度
国外財産に係る課税の適正化を目的として、2012年の税制改正で導入されました。
具体的には、毎年12月31日に5,000万円を超える土地や株式等の国外財産を保有する人は、翌年3月15日までにその国外財産等の内容を記載した「国外財産調書」を所轄税務署に提出しなければなりません。
財産債務調書制度
所得税や相続税の申告の適正化を目的として、2016年の税制改正で導入されました。具体的には、その年の総所得金額等の合計額が2,000万円を超え、かつ、その年の12月31日に3億円以上の財産または1億円以上の株式等の国外転出特例対象財産を有する人は、翌年3月15日までにその財産等の内容を記載した「財産債務調書」を所轄税務署に提出しなければなりません。
国外転出時課税制度
いわゆる出国税は、個人が含み益を有する株式等を保有したまま海外移住(国外転出)し、株式の譲渡を行なってキャピタルゲイン*1に対する課税を回避する行為を防止する観点から、2016年の税制改正で創設されました。具体的には、国外に転出する日本居住者が1億円以上の株式等を所有している場合、国外に転出した時に、その対象資産が譲渡されたとみなして、対象資産の含み益に所得税が課されます。
まとめ
日本に居住しながら、海外に5,000万円超える土地や株式を持っていたり、年間2,000万円を超える所得がある人が1億円以上の金融口座に資産を持っていたりすると、CRS制度などで資産状況が丸裸になるということですね。当然、未報告の人が罰則がありますのでご注意ください。しかも、1億円以上の株式等を保有したまま出国すれば課税されます。普通に考えて、税務署も我が家みたいなスモールフィッシュより、ビッグフィッシュから調査することでしょう。国はとにかく財産の流失を防ぎたいのが見え見え。日本に1円たりとも払いたくなければ、海外に移住するしかありませんね。
最後までご覧いただきありがとうございます。
*1:キャピタルゲイン:株式等の売却益のこと。